褒める褒めない

先日、あるヴァイオリニストのエッセイを読んでいると「留学先でのレッスンは大変に厳しかった。先生の最大の賛辞は”悪くない”であった。だから誉めて伸ばすという教育がピンと来ないのだ」という趣旨のもの。
私も、偉大なその方の受けてきたレッスンは違えど、やはり先生方は大変に厳しい方ばかりだったと思う。最初のピアノの先生には誉められた経験は、もしかしたら皆無かもしれない。いつもエチュードで丸をつけられるときには「うーん、まぁいいでしょう。。。」が口癖で後ろでそれを見ている母などは「厳しいわねぇ。。。」の感想を漏らしていたものだった。けれど、自分は「そうか。これくらいでは先生に誉められるような演奏ではないのだな。また頑張ろう!」と思ったので、自分にとっては誉められるよりもそのくらいの言葉のほうが良かったと思う。
発表会の後には、頑張りを誉めてくださっていたようにも思うが、それ以上にも注意点など熱心に指導して下さった。

フルートの先生は、普段穏やかでレッスンでも感情的になることはまず無かった。そういう面では優しい先生だったけど、音楽的には妥協することなく厳しかった。たった1音の表現のために費やす時間は。。。何分だっただろうか。何十分だっただろうか。そしてやはり誉められること、なかったなぁ。

大学の先生。いっちばん嬉しかったのは「あなたは良くさらう(練習する)」という誉め言葉。更に練習頑張れます!先生!という気分になれたものだった。演奏に関しては、かなり厳しいコメントを常に頂いていた。厳しい言葉は砥石になり、より良い自分になろうと思えるから、自分には「厳しい」くらいの先生が必要だと思う。

一度、受験のためにある大学の先生のレッスンを受けたが、誉められてしまって「え・・・・?これでいいはずないけど・・・」という気分になったことを今でも思い出す。
本心なのか、本心でないのか、生徒は敏感に感じ取るものなので、お世辞で誉めるっていうのは、本当に良くないし同時に失礼でもあるかと思う。

だから、私もその「誉めて伸ばす」は、ちょっとピンとこないかなぁとも思う。でも誉め方も、大学の先生のように「よくさらう」という過程を誉めるのはかなり有効なんだと自分の経験から思った。

たとえば親から、自分がテストで100点取った時「よく100点取ったね!えらい!」と言われれば「なにその上から目線・・・?」って思いませんか?(笑)少なくとも私はヘソ曲がりなのか、そういう誉め方ってキライで、それより「毎日勉強頑張ってたからだね。」のほうが嬉しいし、今後もまた頑張ろうと思う。結果だけを誉めてしまうと、そこで成長が止まる気が。。。するんですよね。

なので、今も基本的には私の誉め方は、そんなかんじ。
「よく練習してきたね!」とは言うけど、「上手!」とは、あんまり言わないと思う。「上手!」と言える生徒が居れば、その子は自分の手から手放し、もっともっと上を目指せる先生の下に預けるからね。