バイエル

賛否両論ある教則本です。バイエル。
私もいろいろ考えました。考えていろいろ研究して、やはりこの教則本は使うことにしています。これから、また気が変わることもあるかもしれませんが、今は、これ以上のものが見当たりませんので。

先ず、曲数が多い。つまんない。お勉強じみている。というのが生徒さんの意見でもっとも多いです。
30年前の私の時代は、着せ替え人形とかお手玉とか、シンプルな遊びが多かったせいか、ピアノはものすごく楽しく感じたものですが、今の子供達は刺激的な音楽をもう随分小さい頃から耳にする機会が多くありますし、おもちゃも面白いしかけのものが沢山あります。そんな中で「バイエル」の音楽は、単調でつまらなく感じてしまうのも肯けます。

では!バイエルピアノ教則本の中の音楽は、本当に退屈でつまらないものなのでしょうか???

私は、シンプルで純粋で美しい音楽だと思いますので、それを是非とも生徒さんにも伝えたいという思いで、バイエルを教えています。
テクニックも順序立ってついていきます。沢山曲数があるということは読譜力もつきます。悪いことはないのです。

シンプルな曲というのは、弾き手にイマジネーションがないとダメです。
聞き手も、勿論ないとダメです。
想像力がないから「バイエルはつまらない」となってしまうのではないかと私は思っています。

実際に、レッスンの時には、生徒さんに曲に題名をつけてもらってイメージを膨らませます。
先日Mちゃんは「ことりがおとうさんとおかあさんを呼ぶうた」なんて題名をつけてくれました。
本当に、その題名の情景が浮かぶように弾いてくれました。
次に、同じ曲で別の題名をつけてもらいます。
表現をする遊びをするわけです。
私が「次は・・・」と言う前にMちゃんは「こんどはぞうさんになってみるね」「こんどはリスみたいに」と楽しそうに弾きました。

実は、大人の方にもバイエルを弾いてもらってます。
大人の方だと、子供と見方が違います。
どうしてここにこんなふうにスラーがついているのでしょうか?という質問をされました。
今までバイエルでそんな質問を受けたことがなかったので、あまり考えもしませんでしたが、フレージングも、バイエルは素晴らしくよく出来ている、というか、立派な「曲」なのだな、と感じずにはいられませんでした。

どんな曲でも、「つまらなく」するのは、本人自身です。イマジネーションがないとつまらなくなります。
想像力を強化しましょう。

<追記>
2009年9月20日

バイエルは、良い教本だと思うんだけど、最近はやっぱり1巻はやらなくなってるなぁ。
美しい曲が多いんだけど、前記の通り想像力が要る。大人の人だとその美しさを理解出来るようだけど、お子さんたちにはもっと刺激的な楽しいものがニーズに合っているのかなぁと。
そんなかんじで、余力のある子にはバイエルを貸したりしていますが、ものすごい楽しそうかといえばそうでもないのが実情(笑)